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-リトル・ヤンゴン-

2026年10月01日

私の住む駒込が、今、密かにリトル・ヤンゴンとも称される状況となっています。いつのまにか20件を超えるミャンマー料理店が林立し、ミャンマーの食材店も複数あります。ミャンマー人が経営するエステやマッサージ店もあるらしい。これだけのお店の経営が成り立つということはさぞかしミャンマー人の住人も多いのでしょうが、そこは特に目立ってはいません。ただ、試しにコンビニの店員さんに「お国はどちら?」と聞いてみたところやはり「ミャンマー」とのことでした。

せっかくなので私もしばしばミャンマー料理店にお邪魔をしています。料理の総合力としては同じ東南アジア料理でも、タイ料理やベトナム料理ほどは洗練されていないかなという感じ。美味しいものもあるものの外すとちょっと難しさを覚えることもありますが、それでも私がミャンマーレストランを気に入っているのはお客さんがほぼミャンマー人しかいないから。どの店に行っても日本人のお客さんは私しかいないし、日本語もあまり理解してもらえないことがあります。ですが、それが私にはなんとも心地がよいのです。

もともと私はホームよりアウェーのほうがしっくりくるタイプです。どうもホームだと浮いた存在になりがちですが、アウェーだと比較的受け入れられやすい。その根底には、まず私が一人っ子だからかもしれません。一人っ子というのは兄弟姉妹と子供連合は作れませんから、親や親戚、あるいは先生、ご近所といった大人連合に一人で立ち向かわなければいけません。ただでさえ日本は言われなき一人っ子差別に満ちていますから、一人っ子の私はどうしても生まれてこの方、アウェーの闘いを強いられてきました。

更に私は、転校や付属出身者が多い中への外部からの参入、やたらと愛校心の強い集団への不本意転落など、学生時代の殆どがアウェーの環境だったというのもあるのかもしれません。とにかく、ミャンマーレストランで、なぜか2人で対面ではなく隣り合わせに座る人々のさっぱりわからない言語に囲まれながら、出てきた料理の食べ方を間違えるとなにやかんやとおせっかいをされる、このアウェー感が気分良いのです。なお、なぜミャンマー人が隣り合わせに座るのかをパートナーの皆様にはお馴染みの当社マーケティング担当でミャンマー出身のピューに確認したところ、「対面だとちょっと遠くて冷たい感じがする」からだそうです。

こう書きますと、日本も随分と国際化しているように聞こえるかもしれません。実際、インバウンドの観光客は増えているようで、メディアは、そうした観光客の日本についてのポジティブなコメントばかりを盛んに取り上げています。「街が清潔だ」「交通機関が時間通りに運行される」「アニメだ、アイドルだ。ゲームだ」などがその代表ですね。しかし私の身近では、むしろ外国人の訪問者が共通して挙げる日本のネガティブ・ポイントの方が気になります。それは、「どうも、電車の中でもお店でも、どこに行っても歓迎されている気がしない」です。結局、どんなに国際化を気取っても、日本人の心の中にある日本は自分たちのホームであるという感覚。外国人はまさしく外の人たち。つまり、アウェーの存在という感覚はいわゆる「鎖国」の江戸時代からあまり変わっていないのではないでしょうか。

ところで今日、「外国人活用セミナー」というのに行ってきました。そもそもこういうセミナーが成立しうること自体が、令和の今も精神的「鎖国」が続いているひとつの象徴なのではないかと思います。セミナーの内容は、正直何をいいたいのかよく分かりませんでした。文化が違う、言葉が違う、価値観が違うから、摩擦はあるのが当然。コミュニケーションを図るには、特別扱いは基本しないが、少しは特別扱いが必要。定着してもらうには困ったときに相談できるメンターを付ける必要がある、云々。

当社も、もう長年多数の外国人社員を採用してきましたが、このセミナーのどの教えもまったく腑に落ちるものはありませんでした。文化が違うといいますが、そもそも当社は、当社の価値観の中心である「困難から逃げずにチームでやりきる」に親和性のない人間は国籍がどこであろうが採用しません。当社の文化といえばそれだけで、業務のコミュニケーションはすべてがこの価値観に帰結します。この単純な文化に共鳴しなければ当社では定着できません。それ以上でもそれ以下でもないのです。きれいごとばかりいっても仕方がないので正直に言いますが、過去何人もの社員がこの文化に共鳴できず、会社を去りました。中には重大な非違行為をおこして去っていった者たちもいます。

ただ、申し上げておきたいのは、そのような社員の殆どはいわゆる日本人社員です。
いわゆる外国人社員で当社に一定期間定着しない例は極めて稀であります。

駒込がリトル・ヤンゴンになる。こんなに楽しいことはありません。


代表取締役 CEO 奥野 政樹

 

 

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