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―日本のやり方が流行っている?―
2026年07月01日

サッカーのワールドカップで、ここまで日本チームが良い調子です。それ自体はこのメンバーの層の厚さ、ここまでの親善試合の戦績を見れば、このチームを推している者には特に驚くことではありません。ただ、世界的にはまだ日本がサッカーで活躍をするというのは意外なのだそうで、なぜだ?ということになるようです。その分析の結果、以下の3つの特異点が日本チームには見られるそうで、特に1なんか真似してみようかというチームも出てきているとか。その3つとは何かというと、こうです。
1.相手に得点されると選手が全員、ときにはベンチのメンバーも出てきて円陣を組んでいる
2.試合に出られないベンチの選手が全員立って、何やら叫んでいる
3.そもそも登録メンバーに入っていない負傷したチームの中心選手や前のキャプテンがチームに帯同し、
他の選手の靴磨きをやっている
ちなみに一頃はやったグローバル・スタンダードという言葉でいうと、こうなるそうです。
1.相手に得点をされたら、皆が下を向き、一部で誰のせいか罵り合いが始まる
2.試合に出られない選手はベンチに座り不貞腐れている
3.登録メンバーに入れなかった有力選手は試合を見るのも不愉快なので旅行に行く
どこまで本当なのかは分かりませんが、この話を聞いて、ふと子供の時のことを思い出しました。私が幼少期は、チームでスポーツをやるときは、ミスをした仲間を決して責めてはいけないと習いました。そういうことをする奴は、どんなに上手くてもチームワークを乱す最悪の存在である。誰が教えてくれたかというと、巨人の長嶋選手と王選手です。子供向けのメディアにそう書いてあったそうです。大人になってメディアに騙されていた部分が多いことには気が付きましたが、まあ、とにかくそう信じていました。
ところが、中学2年生の時、そんな私の信念を根底から覆す存在が現れました。走っても、泳いでも、サッカーでも、バスケットでも運動においてはなんでも超中学級、ちょっと信じがたいパフォーマンスを発揮するNと同じクラスになったのです。ところが、このN、確かにとてつもなく凄いが、正にチームワークを乱す奴でした。ちょっとでも仲間が意に沿わないプレーをしようものなら「下手くそ」「何やってんだよ」「もう、やめちまえよ」と罵声の限りを浴びせてきます。チームメートはもう委縮してしまって、伸び伸びとプレーができません。私もそうでした。早い話が、ちっとも面白くないのです。
ただ一つだけ確実に言えることがありました。それはNと同じチームなら勝てるということです。運動会の400メートルリレーもぶっちぎりの優勝でした。ただ、アンカーの彼がゴールで腕を高々と上げるといういらないパフォーマンスをしたお陰で学校記録を逃しましたが。それでも彼も「ごめん」なんて謝っていたし、やはり優勝の味というのは格別でした。同じく水泳大会のリレーでも優勝。ただ、これらはチーム競技とはいっても一人ひとり独立してプレーをするので、彼の罵声もさほど気になりません。
ところが球技大会となると話は別です。その時の種目はポートボールという疑似バスケットボールみたいなものでしたが、バスケ部の彼にとってはまさに専門中のど真ん中でした。クラスで2チーム作ることになり、なぜか私はその一つのチームのキャプテンでした。理由は今にしてみると謎です。そしてもう一つのチームのキャプテンもKという、まあ下手ではないが特に上手いというわけでもないのに何やら人気がある奴でした。それで、2人のキャプテンがじゃんけんをして勝った方からチームメートをドラフトしていこうということになり、私はそのじゃんけんに勝ってしまいました。正直勝ちたくありませんでした。負ければ、面倒な決断を自分でしなくていいからです。面倒な決断。もう、お分かりですよね。Nをドラフト1位で指名するかどうかです。私は5秒くらい考えてから「N」と指名しました。すると彼は当然、という顔をしていました。私とNは特に仲が良いというわけでもなく、彼はむしろKと仲が良かった。でも、私のチームでも別に問題はなかったようです。意外だったのはKの反応でした。私のNの指名を聞くなり彼は小躍りして喜び、クラスでもう一人のバスケ部であるTを指名しました。Tは私とも仲の良い、気の良い男です。
その結果、私のチームは練習から本番までNの罵声を浴び続け、まったく楽しくない。一方、KのチームはTを中心に良くまとまり終始笑い声が絶えず楽しそうです。結局、球技大会はクラス対抗ですから、私のチームもKのチームも1セットも落とさず勝ち上がり、クラスとして優勝をしました。しかし、教師その他から称賛を浴びたのは、TのパフォーマンスとチームをまとめあげたKのキャプテンシーばかりであり、Nのスタンドプレーとそのワンマンチームの修正にまったく無力だった私には、口には出さねど、むしろ大人たちが反感をもっていることはヒシヒシと感じられました。
さて、話をサッカーの日本代表に戻しますと、彼らはプロであり、各人は間違いなくタイプとしてはNのタイプ。決してTのタイプではないと思います。いや、おそらくNなど足元にも及ばないスタンドプレイヤー ばかりでしょう。そういうメンバーをチームのために自己犠牲を厭わない存在にさせてしまう森保監督の手腕は凄いのに違いない。ただ、日本も三浦カズをフランス大会の代表から外し、それを決断した岡田監督がどうも後悔しているような言動を示して、結局、南アフリカ大会では川口を代表入りさせるといったチームワーク維持装置の開発実験を繰り返して来た歴史の成果という側面も大きいのではないかと思います。そして、今回は、今までのような長友という装置に加え、新たに南野と吉田という装置も加えている。こういう進化というのは一日にしてならないものだなあと感じます。
更に、本当に勝ちたいという究極の状況に陥った時に人間というのは本性が出るのでしょうが、そのとき日本人は、やはり和に帰る。そう思われるのです。そうであれば、これを日本以外のチームがいくら真似をしてもうまくいくわけがありません。
本当に優勝しないかなぁ。まあ、私はチームに呼ばれていませんので、わがままに楽しませていただきます。
代表取締役 CEO 奥野 政樹
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