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-デジタルは頭を悪くするか?-
2026年05月01日

デジタル教科書では、思考が深まらず学力が低下するという懸念がそれなりに広がってきています。私は専門家ではありませんが、確かにその可能性は高いと思います。
といいますのも、ビジネスの世界ではデジタル化の進展とともに人間の業務能力が低下し、仕事のクオリティーが損なわれていることは明らかだからです。思い返せば、デジタル化もパソコンが普及してEメールが使われ出したあたりまでは業務効率を高める効果の方が大きかったと思いますが、パワーポイントで不可雑な概念がシンボリックに視覚化されるようになったあたりから、徐々に人間の業務能力の低下が始まったように思います。パワポが作り出す美しい図柄やチャートを共有することにより、説明する方もされる方も、何かスマートに意識を共有した気にはなるが、実は分かった気になっているだけで何も分かっていない。こういうことが日常になり、人間の思考力も理解力も徐々に損なわれ始めたというところでしょうか。ただ、まだこの段階では結果としてさほど悪影響は生み出してはいなかったと思います。
問題を大きく悪化させたのはいわゆるシステム化、後にかっこよく改名して「デジタル・トランスフォメーション」、DXが進むようになったことだと思います。抽象的な概念をデータ化して、それをとにかくデータベースに叩き込み、それをコンピュータに分析させて、現状把握と採るべき策を決める。これ、勝ち負けのはっきりしているスポーツや囲碁将棋などの完全情報ゲームの世界ではかなり有効ではあるでしょう。しかし、ビジネスではどうもうまくいかないと思うのです。例えば、どうやったらもっと売れるのか、あるいは誰を人事的に高く評価すべきなのか、という問題にこの手法を当て嵌めてもナンセンスな結果しか出てこない。なぜかといえばそれは簡単な話で、ビジネスの世界というのは完全情報ゲームではないし、そもそも勝ち負けもはっきりしないからです。すべての情報が見えているわけでもない、また、そもそも何が勝ちなのかも分からないのに、Key Permanence Indexをことさらに増やしてデータベース化し、そこに小賢しい理屈で構成された分析を当て嵌めたところで、そこに合理性などありません。出てくるのはただの虚構だけです。しかし、虚構でもなんでも、これは戦略を立てる者、評価する者、つまり管理者にとっては大変都合がよい。作戦を立てたのも評価をしたのも自分ではない、システムだ、といえるわけですから。上手くいかなくても自分のせいではないし、人事評価に苦情が来ても、数字がこういっているから、で逃げられる。だからDXは進んでしまった。このあたりから取引先から頂くメールの内容がだんだんと意味をなさなくなり、口頭で確認すると、ますます分からなくなるということが多発するようになりました。
更にAIが出てきて、その傾向はますます高まり、最近では明らかにAIが書いたと思われるメールを多数いただきますが、そのほとんどは全く読むに値しない無価値な情報です。混乱の使用すらありません。完全なる無内容です。そもそも、今ではこちらからの重要な連絡にもお返事をいただけないことが非常に多いですし、直近ではミーティングの約束をすっぽかされ、事後に何も説明いただけないということもしばしば起こります。
やはりデジタル化は人間の能力を低下させるというのは、まあ、そうであろう、と思ってしまうわけです。では、対策はないのか。それは、なぜデジタル媒体を通じては思考が深くならないのか、ということにヒントがあると思います。私は、デジタルがよくない最大の理由は、それが2次元であることだと思うのです。例えば、私は弁護士の知り合いも多く、また、自分でもやりますが、みな口を揃えて契約書のレビューは必ず印刷してから行うといいます。それは2次元ではページの行ったり来たりがとても面倒だからです。3次元の媒体でないと思考を縦横無尽にいきわたらせるのは困難なわけですね。その他にも、新聞だってデジタル版より紙の方が、明らかに読んでいて考えます。ですから冒頭のデジタル教科書ですが、たしかに紙の教科書を使うのに比べ学力が落ちてしまうというのはあると思います。
でも、2次元が問題なのならデジタル媒体も3次元にすればその問題は解決するのではないかとも思うわけですね。よくは分かりませんが、デジタルコンテンツの立体化というのはさほど難しいことではないのではないでしょうか。そして、今はトンチンカンで使えないことこの上ないAIですが、これをロボットに搭載すれば、結構いい仕事のパートナーにもなれる気もするのです。
代表取締役 CEO 奥野 政樹
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