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久々の惨劇 ~ 1オクターブずれてる
2026年03月01日

もう何回目になるかはわかりませんが、とにかく15回は超えていると思われる「大人のピアノ発表会」。先日、いわゆるママ友という人達と会って、「今年もまた、もうすぐなんですよね。」などと話していたら、「いいですよね。素敵な趣味があって。」とのこと。反射的に「いや、趣味ではない。」と答えたところ、皆、苦笑いしていました。
趣味じゃなきゃ、では、なんなんだということですが、趣味というのは楽しむものでしょう。決して楽しくはないのです。ただ、とにかく毎日短時間でもピアノの前に座るというのが日課になっているので、やめてしまうのもどこか勿体ない気もします。それに、年に一回の発表会で自分を見失うくらい緊張する。仕事でこういう経験はないので、一種欠かすことのできない修業のような気もする。そんなところでしょうか?それに、前にも書きましたが。私の場合、下手なくせにオリジナルを演奏したり、ロックをやったりするから教室の先生たちの間でも有名になっていて、「今年はあの人、何をやるの?」と私の先生に問い合わせが入るとのこと。そうするとちょっと期待を裏切るわけにはいかないという律儀もあります。
ただ、今少しいいのは、先生が何もうるさいことを言わない方なので好き勝手ができるということです。今年の楽曲は矢沢永吉の比較的マイナーな「LAHAINA」という曲で、当然にピアノ楽譜など売っていません。いや、正確には昨年、ついにピアノで弾く矢沢永吉集みたいな楽譜集が発売されたため大きな期待と共に購入しました。そこに「LAHAINA」もあるにはあったのですが、私が言うのも僭越ですが、あまりにも簡単なキーとアレンジになってしまっていて、これではちょっと気が進みません。原曲キーのメロディー譜はネットで購入できたので、これをベースに右手は少アレンジして、左手はコード進行を参考に完全に自作することにしました。
最初先生は少々驚いていましたが、まあ、私がやると言い出したらやめろといっても言うことをきかないことはお分かりのようで、「じゃあ、そうしましょう」とご承認をいただきました。与えられた楽譜を弾くのではなく自分で創作するとなると、実は少し楽しくなります。歌を歌うのと違って鍵盤は押した音がちゃんと鳴りますから、音が重なって原曲で聞いたような音色が出るととても気持ちがいいです。こうなると、少し趣味という趣も出てきます。
ただ、弾き始めてみるとこの曲、どうも感じがでません。メロディーが比較的単調で盛り上がりに欠けるのを、永ちゃんの圧倒的歌唱力で南国の切ない恋のムードを醸し出す曲で、そのムードを構成するのは絶妙なギターワークやストリングスが貢献してますから、それらを私のアレンジ力でピアノだけで表現するのはとても無理でした。
かなり試行錯誤を重ね、なんとか落ち着かせたのですが、基本は各コード、セブンスといわれる4音からなるものをバラシてアルペジオにする形でどうも音数が多い。先生はそれが少々気になるらしく、2番はアレンジを変えろと言います。もうこれ以上無理という感じなのですが、さすがに先生の仰ることを無視するわけにもいきませんから、1週間かけてもう1パターン左手を作りました。すると今度は先生、ちょっと短すぎるというのです。持ち時間5分のところ3分半しかないとか。私としてはそれで十分ではないかと思うのですが、先生はそこは譲れないらしく、「時間よ止まれ」と合わせてみたらとか、中森明菜の「デザイア」とあわせてもいいのでは、といろいろ提案してくれました。先生的にはそれで問題ないそうなのですが、今度は私がしっくりいきません。仕方なく、イントロを45秒分くらい作曲してみました。先生もこれでOKとのことで、期せずして今回もまたオリジナルになってしまいました。
さて、本番です。仕上がりは上々で、正直いつになく自信もありました。開演前、先生が他の先生と後ろの席で「自分でアレンジしてね。イントロも作っちゃったの」と話しているのが聞こえてきました。「へー、すごいね」と感心するもう一人の先生。たぶん。私のことなのでしょう。いつになく、気合みたいなものも少し感じました。
14人のうちの12番目。まったく。もっと前でといつもお願いしているのですが、最近はまったく聞いてもらえません。いよいよ名前が呼ばれ、ピアノの前へ。最初の音は、右手がミのフラットとの3和音。左がドからの3和音です。何度も確認しました。間違えるはずがありません。それなのに、いざ音を出してみると、何か違う。最初調律がおかしいのではないかとすら思いましたが、そんなわけがありません
「はっ」と気が付いたことがありました。右に残っている鍵盤、少なくないか?もしや、右手が1オクターブ高いのではないだろうか。そういえば座るときの椅子の位置をよく確認していませんでした。
この時点でかなり混乱していましたが、まだ思考力は残っていました。「よし、今1オクターブ高いのだから、次のフレーズから1オクターブ下げれば元に戻るはずだ。」さっそく実行に移しました。するとなんと、右手と左手がぶつかってしまったのです。「どういうことだ?」もう、完全にパニックに陥りました。そこからは指が震えだし、もう思うように動きません。何度も音を外し、その度に一旦停止し、なんとか1オクターブ下げて正常に戻ろうとするのですが、そのたびに右手と左手がぶつかります。まあ、なんとか最後まで弾き切ったものの茫然自失状態で、一体何が起きたのかしばらく理解できませんでした。
自席に戻り、大失敗の後の絶望のもとだんだん冷静さを取り戻すなかで、ある一つの思いが頭にもたげてきました。「もしや、1オクターブ高かったのは右手ではなく左手ではなかったのか?」そのうっすらとした疑惑は、どんどんと確信へと変わっていきます。
イベント終了後、先生に確認したところ、やはりそうだとのこと。まさか、こんなミスをするなんて。。。つくづく、ピアノなんてものは自分のキャパにはないものなんだよなあ、というのを再認識しました。先生は「でも、最後までよく頑張りましたよ」とは言ってくれましたが、また、これを来年もやるのかと思うと気は重くなります。でも、なぜかうちに帰ると、もう次の楽譜を印刷して、また自分勝手なアレンジをはじめてしまいます。しかも、明らかにこちらの方が「LAHAINA」より難しい。やっぱり、これは趣味なのでしょうか。来年は、どうなることやら。
代表取締役 CEO 奥野 政樹
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