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-右翼・中道・左翼-
2025年12月01日

先日泊りの人間ドックに行きまして、夕方ホテルで久々に地上波のニュース番組をみていたら、立憲民主党と公明党の幹部の人が出ていて、今後は仲良くしたいみたいな話をしていました。なんでも、両党は「中道」ということで共通しているから仲良しになれるのだそうです。中道というのは、状況によって右翼、左翼のどちらにも寄り添えるのがいいのだそうで。
では、その中道の神髄とは何かというと「人間」と「平和」であるということ。これはもう徹底的に分かりません。中道は人間を大事にするといわれても、一体、誰が人間は大事じゃないなどということを主張しているのでしょうか?今時、戦時中のようにお国のために命を捨てることを尊いと言っている人も、元禄時代のように生類は憐れむべきであり、熊を駆除してはいけないと言っている人もあまり見かけません。人間ということで言えば、どういうプロファイルを持ち、どのカテゴリーに属する人間に焦点をあてた政策を行うべきかということが論点なのであり、人間を全部ひっくるめて大事なのです、などといわれても何が言いたいのかさっぱり分からないのです。
平和にしても、今時戦争をしてでも自国の権益を広げるべきである、などということを主張している人が少なくとも日本に一定数いるとはとても思えない。みんな平和が大事だと思っているわけですが、平和を保つためには外から攻められれば守らなければいけない。つまり防衛はしなければいけないわけですが、では、どこまでの防衛が平和を守るために必要なのかということなのです。そうした論点を無視して、ただ平和を唱えるというのは何も考えていないに等しい無責任な態度です。
中道は、右翼と左翼の真ん中だなどといいますが、そもそも右翼と左翼というのは何なのでしょうか?右翼、左翼というカテゴライズはもともと18世紀のヨーロッパで、絶対王政から革命による市民政治に移行していく過程で生まれた言葉です。右翼というのは、それまでの王政を守ろうとする勢力、それに対して左翼というのは、革命によって世の在り方を変えていこうとする勢力という意味でした。それが、時代とともに右翼というのは現状肯定的、時には復古的な保守派であり、左翼というのは、世の中を変えていこうとする改革派という一般的な意味を持つようになり、その具体的に重んじるところは時代とともに変わってきました。日本において戦後は右翼の省庁は天皇主権性への回帰、左翼においては共産主義への傾倒をその象徴とするようになり、この時点で、お互いの対立軸が国家の統治体制と経済システムという噛み合わないものとなっています。現時点においては、この両者ともがまったくもって非現実的なものとなっており、今の右翼と左翼というのは一体何を目指しているのか、その内実を完全に失う中で言葉だけが残り、各人が勝手な感覚で相手にレッテルを貼る道具に使われているようにしか思えません。最近は、江戸末期まで復古して、攘夷を唱えるかのような主張をするものを右翼と呼ぶことが多いようですが、これは本当に右翼なのか。ただのナンセンスなのではないでしょうか?
このように右翼も左翼も意味を失っているのに、その真ん中の中道だなどといい気になってテレビで語っている人たちは、正直、相当滑稽に見えました。そんなことより今大事なことは、戦後3種の神器のように絶対視され続け、今多くの点で時代の変化についていけなくなり制度疲弊を起こしている、資本主義、民主主義、平和主義にどのような修正を加えていくのか、ということなのではないかと思いました。
久々に地上波のテレビなど見ても、あまりいいことはないなあと思ってしまいました。
代表取締役 CEO 奥野 政樹
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