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科学も間違える
2021年04月01日
コロナが流行るようになってから、「科学を信じるべきだ」という主張をよく聞くようになりました。いや、その前に地球温暖化の話がことさらに取り沙汰されるようになったくらいから、その傾向は始まっていたかもしれません。アメリカのバイデン大統領も「科学」を政策スローガンの一つに掲げています。憶測でものを言ってはいけない。科学的根拠が大事。専門家がそう言っているのだから間違いない。こう言われてしまえば素人は黙るしかなくなってしまうわけですが、私は一概にこういう意見に同調する気にはなれません。そもそもこの専門家という存在にしても、地球温暖化については具体的な影が見えないし、コロナについて言えば、これが世の中に出現してからまだ1年ほどしかたっていないのに、一体専門家とされている人達はどれくらいコロナについて知っているのだろう。そういったことが頭の中に渦巻いて、私はとても、マスコミが喧伝する専門家の意見とか科学的根拠をまともに信じることはできません。
記憶に新しいところでは「STAP細胞事件」というのが数年前にありました。万能細胞が極めて簡単に作れるという衝撃的な発表がされたものの、その実験結果に再現性がないということが明らかになり、社会的大問題となった事件です。この場合は、すぐに間違いは明らかになりました。
また、「常温核融合事件」というのを皆さんは覚えているでしょうか?今から30年ほど前に、イギリスとアメリカの科学者により室温で核融合が観測されたと発表され、未来をバラ色にする画期的な発見だと大騒ぎになりました。これがSTAP細胞の件と違うのは、その後、世界中の何人もの科学者によって実証実験が行われ、みな揃ってその現象を確認したという点です。しかし結局、常温核融合は起こっていなかったのです。その後も常温核融合は起こり得るとの推定の下、研究を続けている科学者もいるようですが、いまだにそれは確認されていません。30年前に、世界中の専門家が科学的根拠を振りかざして世の中をぬか喜びさせたという事実は、疑いようがないのです。
更に、野口英世という人がいます。手に障害を持ちながら、たゆまぬ努力で黄熱病ワクチンの開発など数々の医学的功績を残したエライ人として紹介されているのを、伝記や教科書で散々読みました。そんなにエライ人だから、千円札の「お顔」にもなりました。ところが現在、彼の研究成果のほとんどは杜撰な研究に基づくただの早とちりであったとして否定されています。
これでもまだ、科学を信じろと言うのでしょうか?私も科学は人類や社会の発展に非常に重要であるということには同意します。科学を止めてはいけない。けれども科学は万能ではない。間違えるのです。そして暴走するのです。また科学は、今回のコロナのように突然出てきたものに対しては大した力を持ちません。科学というのは成果を出すまでに長い時間がかかるのです。つまり新しく発生した問題に対する即効性は小さい。
危機的状況において、こういった存在に妄信的に自分の身を預けるのは、正直賢明ではないと私は思います。ましてや、我々に伝えられてくる科学的真実というのは、メディアや政治の意図により歪められていることがしばしばあります。
このような「科学的事実」に縛られて、自らの行動や立ち居振る舞いを規定していくのは良策ではない。それより自分の身は自分で守る。そのためのリスク認知と、その対応を見出す感性を磨くことの方が余程重要だと私は思うのです。嘘と本当を見分けることが大切。嘘を語っている者と本当のことを言っている者の差を体験する機会は、日常でいくらでもあります。営業トークしかり、セミナートークもまたしかり。こういうものを素材として周囲と議論をすることが、嘘やまやかしを見抜く目と真実を捉える感性を磨くのに極めて有効なのではないかと考えています。
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