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働き方改革
2018年09月01日
最近よく思うこと。「働き方改改革と言うけれど何を改革するのだろう?」きっと私だけではなく多くの人が同じ思いを持っているに違いない。私はそう思っていますが違うのかな?
そんな時、「5分でわかる働き方改革」という都合の良いサイトを見つけたので、ちょっと覗いてみました。それによると、働き方改革の具体的な3つの課題とは、
①長時間労働
②非正規と正社員の格差
③労働人口の不足(高齢者の就労促進)
だそうです。確かにこういう問題は存在するのでしょう。当社のお取引先でも、時差も無いのに夜中の3時、4時に連日メールを送ってくる方が複数いらっしゃいますし、業績が悪くなればいわゆる「派遣切り」が横行するという実態があることもよく聞きます。人手不足についても、まあ確かに何となく、街の店員さんの数が最近減っているような気がします。
しかしだからと言って、これらが今の日本における「働き方」の3大根本問題なのだと言われても、私にはどうもピンときません。不払い残業を強いるブラックな企業というのは実際に存在するようですが、一方で長時間労働すればそれだけ報酬が増えるという基本的な仕組みの中、残業が減って実は困っている人も少なくありません。また非正規と正社員の賃金も、労働者の手取りという意味では確かに違うのかもしれませんが、雇用者の側から見るとエージェントへコミッションを払う分、逆に非正規の方が正社員よりも割高になります。更に最近は、何かと組織のしがらみに縛られる正社員よりむしろ非正規で自由な働き方を好む若者も少なからずいるようです。人手不足についても、一方では技術進歩によってAIが人間の仕事を全部奪うことを危惧しながら、高齢者の就労促進とは一体何が言いたいのかさっぱりわかりません。
当社は親会社が米国の会社ですし、取引先企業も米国を始め最近は中国など多国籍にわたります。日々、そうした他国の会社と日本の会社双方とお付き合いする中で、私が強く感じる日本の「働き方の問題」はこの3つではありません。私が考える日本の「働き方の問題」、それは以下の3つです。
①働く人の達成意欲の欠如
②働く人の個性の欠如
③働く人の明るさの欠如
どうも日本の労働者は、他国の労働者に比べて物事をやり遂げるということに対する価値観が低く感じられます。彼らは、自らに割り当てられたタスクは過不足なく実施します。ところが物事をやり遂げるということになると、それは自分の役割ではなく組織の問題だと考えているように思われる言動が非常に多く見受けられます。成果が出ても興奮もしなければ、出なくて悔しがりもしない。米国の働く人も中国の働く人も成果へのこだわりは非常に強くて感情むき出しで来ますが、日本の働く人はここが淡白なので話がかみ合わなくなりがちです。
そして働く人の個性の欠如。米国や中国の働く人に比較して、日本の働く人が主体的に考え、自分のやり方で仕事をすることを避ける傾向を日々ヒシヒシと感じます。何もかもがすべて細かくマニュアル化されており、それを覚えるだけで汲々としてしまっている。しかもそのマニュアルの目的が一見顧客満足度を上げるためのような体になっているものの、実は自らの利益を上げるのが目的であることが見え見えだからたちが悪い。例えば、明らかに解約忘れを狙っているとしか思えない“期間限定無料サービス”がネタバレすると、今度は忘れないように“解約時期を通知してくれるサービス”をマニュアル化したりするわけですが、こんな偽善マニュアルが健全な個性を育むはずがありません。かつて日本が世界に誇った、働く人の個性が支える最高の顧客サービスは今は見る影もありません。
更に、日本の働く人がどうにも暗い。仕事なんて生活のためにやっているだけ。自分がやっていることが何の意味があるのかわからない。普通の働く人ではない、一般的には働く人の中の大成功者とされている大企業のエライ人たちまでがこういう負のオーラを強く出している。もちろん仕事というのはただ好きなことをやっているのとは違って、単純に楽しいとかリラックスという言葉では語れないものがあります。しかし、働くということをこれだけネガティブにとらえているのは、今の日本の働く人くらいのものではないでしょうか。米国や中国の働く人は“働く”ということに刺激と興奮を覚え、アドレナリンが出まくっている人が多いのです。
私が感じる日本の働く人のこの3つの課題は、一言で言えば働くことへの閉塞感なのかもしれません。そして私には、この閉塞感を生む元凶は終身雇用という制度がもたらす安全と引き換えに、組織への従属を過度に求める社会にあるように思えてならないのです。とは言え、働き方改革の柱として「期間の定めのない雇用契約の禁止」を盛り込もうなどと主張しても相手にはされないでしょうから、こういうのはどうでしょう。
①働く人すべてのデータをビッグデータで世の中に公開
②上記データに基づき企業間の働く人のトレードやレンタルを促進
③一定の条件を満たせば働く人はフリーエージェントの権利を取得
要するに、プロ野球やサッカーの世界のように選手は全体で保有し、各チームの都合に応じて合意に基づきオープンに移籍することを可能にする。ただしそれだけだと憲法で保障された職業選択の自由に抵触しそうなので、フリーエージェントという制度も作って、選手が自由に移動できるチャンスも用意するということです。隠密行動での転職活動を許すというのは、企業側にもリスクがあると同時に働く人側にも何かと負担になるのであり、結局のところ、日本のような「和」の国ではなかなか人材流動の促進につながらないわけですから、ここはひとつ、人材流動をオープンな制度として確立するというのが、閉塞感打破の大きな決め手にならないかと考える次第です。