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2016年12月7日
「“国際ビジネス力って何だ”」セミナー報告
今年最後のPacketFabric ビジネスセミナー。今回のテーマは「国際ビジネス」です。第1部では、日本企業の海外進出を数多く支援するテックレボの雨宮氏をスピーカーに迎え、日米での豊富な経験と実例から、シリコンバレーでの日本企業の実情を語っていただきました。第2部では弊社CEO奥野が、海外企業とのビジネスにおいて起こり得るトラブルや陥りがちな困難を通して、日本人の絶対倫理である「和」をどう修正すべきか、独自の視点で国際ビジネス論を展開しました。質疑応答タイムでは熱い意見交換もあり、1年の締めくくりとして印象に残るセミナーとなりました。
当日の様子をご紹介いたします。
講演:「シリコンバレーで成功する会社、失敗する会社」
講師:テックレボ合同会社 代表社員 雨宮 雄氏

<講演内容抜粋>
- シリコンバレーのおさらい
- “シリコンバレー”とは場所ではなく、マインドセットの総称
- シリコンバレーでの注意点
- 似たような人を多く雇う事はやめる。文化、スキル、教育について、ダイバーシティを持っている事に留意する事
- シリコンバレーへ進出した目的が、明確である事
- ゴールを誤らない事
すべてのそろった大企業の海外部門なのか、ビジネスの拡大のためにシリコンバレーのスタートアップに投資をしているのか。 - 親会社から、少なくとも3年は、支援のコミットを取る事
- 成績の悪い人は、日本からの派遣であっても切る事
一度存在を許すと、成績の悪い人を切れない会社という評価をされ、足元を見られてしまう。 - 貢献者に対しては、その功に応える事
- 日本企業が犯しやすい過ち
- トップとして、大企業出身の男性のみを雇う事
女性やマイノリティーも含むべき - 年度がかわるたびに日本側の戦略が大きく変わる事
ビジネスには安定した関係が必要。少しずつ変わるのは許容範囲。 - 限定された付き合い
日本企業との付き合いに大きな時間を費やす。訪れる場所はゴルフ場と寿司屋。
ダイバースチームを利用して他社との関係を拡張するべき。(日産自動車はうまくいっている例) - ハーバードやスタンフォードの卒業生を雇っておけば安心
これは都市伝説。多すぎはダメ - 上から目線の交渉姿勢
NDAを結ばず、話だけを聞き出そうとする
自分の組織は守るが相手の事は考えない - 何時までも、何も決めない
決められない人とは付き合わない - 結論を言わない (笑ってごまかす)
不気味なだけ - 行間を読め
書いてある事がすべて
- 評判の良い会社、悪い会社
- シリコンバレー進出のプロセス
- 注目すべき技術・会社
講演:「ディスカッションと話し合いの違い ~気持ちのやり取りは通用しない国際ビジネス~」
講師:パケットファブリック・ジャパン(株) 代表取締役CEO 奥野 政樹

<講演内容抜粋>
- 「ディスカッション」と「話し合い」の違い
- ディスカッションで重要なことは、各参加者が論点を理解し、合理的な言動をとること
- 対して話し合いで重要な事は、“空気”をつくるのに貢献すること
あるべき終わり方は『では、そういうことで』(相当程度の曖昧さ)
- 「和」とは何か?
- あるものごとについて、関係者全員が納得している状態
- よくある言動
『俺は何が何でも絶対納得しない』
『ダメなものはダメ』
『俺の立場はどうなるんだ』
『一生懸命やっている△△の気持ちを考えたことがあるのか!』 - 日本においてのみまかり通る論理は国際ビジネスでは通用しない
→すべて暴言ととらえられ、野蛮と恐れられる!
- 「和」の支配下における意思決定モデル
- 空気をつくる
ex.) 築地市場の豊洲移転における“盛り土問題”
『あのときはそういう空気だった』 - 「和」の形成
- 物事が成る条件とは
(1)強い放火力を持った火付け役
(2)高い専門性と対人能力をもって空気形成を担う調整役
- 「和」の組織と外国人のビジネス
- “和”や“空気”がわからない外国人が日本の組織とビジネスをやるとどういうことになるか?
日本人の意図不明な質問と調査の多さに困惑
決裁権者がいいと言っても「社内に納得感がない」の理由により、突然の案件中止
→日本人とはビジネスできない
- 「和」は本当にダメなのか?
- 問題点
・極端に行動が少なく遅い
・意思決定の過程が不明確
・みんなが納得できる中途半端な結論
- 欧米流「闘いカルチャー」の問題点は?
- やることが雑
- 契約書を写メで送ってくる
- 架空名義で契約しようとする
- 他人の仕事に興味がない
- 機械的に事を進める
- お金のつながりばかりで人間のつながりがない
- 関係が長続きしない
<結論>
- 国際ビジネスに重要な事 = 「和」の修正
- 大事なのは己を知り相手を知ること。
「和」についての正しい理解から日本人の国際ビジネスは始まる。 - そのための対策は…
■問題解決の空気ができる過程の見える化
■“放火魔”と“警察官”の育成
参加者アンケート
シリコンバレーで気を付ける事等、講師のご経験・実体験からのお話が参考になりました。
シリコンバレーでビジネスを立ち上げることのメリットについて理解しました。日本もイノベーションを起こしやすい環境づくりが必要ですね。
国内ビジネスでも役に立つ内容でした。いつの日かシリコンバレーでスタートアップする機会がありましたらよろしくお願いします。
決して日本企業の「和」の文化が悪い訳ではなく、「和」の修正が大事だということに感銘を受けました。
日本の典型的な会社の決定プロセスについて改めて整理できました。
空気に水をさしてしまう一人として、大変ためになるお話でした。今年一番面白い講話でした。ありがとうございます。
「グローバルスタンダードは安全性に欠けている」という言葉は印象に残った。欧米の責任の取り方はスケープゴート探しをするというのは勉強になりました。
今回のお話は大企業でのケースと思われますが、大変参考になりました。「空気」という言葉での、日本の会社での意思決定プロセスの分析は、とてもおもしろく参考になりました。
次回セミナーは2017年3月を予定しております。
- イベント・セミナーに関するお問い合わせ
- Tel: 03-5209-2222(午前10時から午後6時まで 土日・祝日を除く。)
E-mail: seminar@packetfabric.co.jp
(担当: 境、宮﨑)