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法人向けクラウド・ネットワークサービスのPacketFabric

ローカルブレイクアウトしたのにSaaSは遅いまま…Unitas Networkの出番です

2023年05月25日

Office 365が遅い・重い。ボトルネックはどこに?」でローカルブレイクアウトを紹介してから早くも5年の星霜を経た。時の経つのは早い。その間に当社のネットワークインフラは大きく進化を遂げ、筆者自身も進化し部長になった。今こそ「Office 365が遅い~」の続編を書くべき時ではないか。お客様宅内でクラウド向けの通信と、それ以外の通信に分割された二つの通信のうち、クラウド向けの通信を徹底的に解き明かしてみよう。

 

 

せっかくなので、当社のインターネットサービスをローカルブレイクアウト構成でご利用いただいているA社を例に取ることにする。A社は日本でも有名な製薬会社である。滅多なことでは病気をしない私はそもそも薬のお世話になる機会もないのであるが、そんな私でも、A社の名を聞けばたちまちにして襟を正すという、そんなグローバルにも展開している一流大企業である。将来、私もA社の薬のお世話になるかもしれない。そんなA社の日本各地に及ぶオフィス、製薬開発センターや工場のうち、関東地方の7拠点のインターネット接続を当社が担うという名誉にあずかっているのである。

 

 

さて、ネットワーク通信はお客様宅内でクラウド向けとそれ以外に、ローカルブレイクアウトされた。この二つの通信のうち、当社が担うのはクラウド向けの通信の方である。お客様のクラウド向けの通信が、どのようにクラウドへ到達するか。先ずクラウド向けの通信は、回線事業者のアクセス回線、ファイバーケーブルであるが、これを通って当社のインターネット接続設備、Point of Presence(POP)の一つに到達する。図の赤線がアクセス回線である。

 

 

話が逸れるが、このアクセス回線にもいくつか種類があることは「海外本社発、DIA、CIR。これは何だ!?」で説明した。本お客様は、全ての拠点に1Gbps帯域保証型の専用線を引いた。いずれも当社から提供した。そして、東京、千葉、神奈川拠点に引いた回線の事業者はColtテクノロジーサービス社、群馬と神奈川拠点はTOKAIコミュニケーションズ社である。つまり、回線事業者が異なるのである。何故か。同じ関東でも、アクセス回線を引き込む所在地により回線事業者の得意・不得意があり、それが価格に反映されるためである。当社は中立な立場で複数の回線事業者を扱える。お客様拠点に合わせて各回線事業者に見積を取ったところ、本組み合わせが最適となったまでである。そればかりでない。いざという時のサポート窓口も、Colt、TOKAIどちらの回線事業者であろうと、一括して当社のネットワークオペレーションセンターで受け付ける。「ええと、千葉の回線はどっちのサポート窓口だっけ?」などと、お客様のIT担当者を迷わせることはない。Untias Globalに1本ご連絡いただければよいのである。このように、当社の優位性は見積フェーズからサポート体制にまで及んでいる。

話を戻すと、お客様のクラウド向けの通信が快適なアクセス回線を通って当社のPOPまで到達した。次に、どのように宛先のクラウドへ送られるか。インターネットは数多のインターネットサービスプロバイダ(ISP)やインターネットエクスチェンジ(IX)が接続し合ってできており、そこは当社とて例外でない。以下は当社東京POPが執筆時点で接続している上流ISPの構成図である。紙幅の関係上IX接続は省いてある。というか書き終わるまですっかり忘れておった。

 


さすがにお客様の通信を傍受する訳にはいかないので、ここでお客様はMicrosoft Teamsでオンライン会議をしていると仮定しよう。今現在、お客様のTeams通信は、どの上流ISPを通って行けば最も快適にTeamsサーバに到達できるであろうか?

 

 

ここで、当社の独自技術Managed Internet Route Optimizer(MIRO)の出番となる。MIRO技術については「帯域保証は当たり前。落ちない、切れないビジネスインターネット」でMIROについて説明してあるが、ここで繰り返すと、MIROはインターネットの世界中の宛先に対し、通信品質調査をしている。勿論、今例に挙げたMicrosoft Teamsも宛先に含む。専門的に言うと、インターネット上のPrefixに対しICMPパケットを送り、遅延値、パケットロス、ゆらぎ(Jitter)を計測している。ちなみにMIROの正体は複数のサーバで構成されるクラスターである。同じくPOP(データセンター)内で稼働している。

 


そして、上記計測値に基づき、どの上流ISPに行くべきかを決定する。専門的に言うと、リアルタイムでNext hopを切り替える。

 

 

こうしてお客様のTeams向けの通信は快適なものと相成った。ここで補足説明をしておこう。MIROは常時インターネット上の宛先への品質調査を行っているのであり、お客様のTeams向けの通信が当社POPに届いて初めて品質調査を行うのではない。お客様のTeams向けの通信が当社POPに届いた時点で、既にその時点の最適経路が選択されていて、それに従って上流ISPへ抜けるだけである。これは当社が展示会でMIRO技術のブースを出した際に、店番をしていてよく受けた質問でもある。

そしてMIROは、現在の経路より他の経路の方が良いと判断したら、ばしばし経路を切り替える。お客様がTeams会議中であろうと、容赦なく切り替える。「ビデオ会議中にそんなことをしたら映像が切れちゃいませんか?」という質問をよくいただくが、実は全く問題ない。これはMIRO以前に、TCP/IP通信で、つまりネットワーク通信アーキテクチャのより低いレイヤーで担保されているからである。

さてここで技術的な検証を行おう。MIROサーバにログインして、現在のTeams向けの経路選択状況を見てみよう。Teamsその他サーバのグローバルIPアドレスは、Microsoftのサイトで公開されている。私は嫌がる同僚を捕まえてTeamsでテスト接続し、以ってTeamsサーバとのセッションを確立し、自分のパソコンでnetstatコマンドを実行した。果たして上記Microsoftが公開しているIPアドレスが表示された。以下抜粋である。

C:\Users\kmaniwa>netstat /n
アクティブな接続
プロトコル  ローカル アドレス      外部アドレス           状態
・・・
TCP         (My PC’s IP address):63332     52.114.xxx.xxx:https    ESTABLISHED
TCP         (My PC’s IP address):63349     52.112.xxx.xxx:https    ESTABLISHED
TCP         (My PC’s IP address):63350     52.112.xxx.xxx:https    ESTABLISHED
・・・

 

この52.112.0.0/14(IPアドレスの範囲は52.112.0.0 ~ 52.115.255.255)のIPアドレスを使ってテストしよう。私はMIROサーバにログインし、「prefix=52.112.0.0/14の経路選択状況を表示せよ」というコマンドを実行した。…MIROサーバ操作のコマンドは親会社のproprietaryなものであるため、ここで載せることができないのが残念である。結果行のみ表示しよう。

52.112.0.0/14   ASN:1828   Mon May 22 2023 09:26:43 GMT+0900

 

これはどういう意味かというと、MIROは現在、52.115.0.0/14のプリフィクスへ行くには「ASN:1828」への経路を選択しているという意味である。ASN:1828は当社の米国本社Untias Globalのグローバルネットワークである。インターネットの世界は国民背番号制なので、ISP名はAS Numberという番号で表示される。つまり、コマンドを実行した時点で、Teams向けの通信に最適な上流ISPとして、Untias Globalが選択されているのである。

 

 

それもその筈である。Unitas Globalネットワークは、その“ドーナッツ・ピアリング”ネットワークにより、世界中のクラウド事業者やSaaS事業者との接続を最適化しているからである。“ドーナッツ・ピアリング”については後述するが、しかし、時と場合によってはうちの親会社のネットワークより他のISPの方が良いと判断される時もある。なにせMIROは調査結果に基づき、ばしばし切り替えるのだから。過去の履歴から、比較的忙しく切り替えが行われた時のログを抜き出してみた。今度は分かりやすくISP名を追記してある。

52.112.0.0/14  ASN:1828(Unitas)  Sun May 21 2023 10:18:11 GMT+0900
52.112.0.0/14  ASN:2516(KDDI)  Sun May 21 2023 10:20:11 GMT+0900
52.112.0.0/14  ASN:1828(Unitas)  Sun May 21 2023 10:22:11 GMT+0900
52.112.0.0/14  ASN:17676(Softbank)  Sun May 21 2023 10:24:11 GMT+0900
52.112.0.0/14  ASN:1828(Unitas)  Sun May 21 2023 10:26:12 GMT+0900

 

10:18から10:26の約10分間に、4回もの切り替わりが発生したのである。このようにMIROは、常に最適な経路を追い求めているのである。

 

 

次に、MIROにより上流ISPとしてUnitas Globalが選ばれた時の、“ドーナッツ・ピアリング”の優位性について説明しよう。当社が接続している上流ISPのNTT CommunicationsやLumenは、グローバルに展開されたネットワーク網を持つTier1通信事業者であるが、その規模故にトラフィックが集中し混み合うこともある。だからこそMIROで複数の経路を切り替えているのではあるが、“ドーナッツ・ピアリング”は別のアプローチをとる。混み合うことが予想されるなら、はなからこれをバイパスしてしまおう、というスタンスである。Tier1ネットワークは倦厭し、世界中のクラウド事業者やSaaS事業者とダイレクトにピアリングしよう、ということである。
かような訳で、Unitas Globalネットワーク(AS1828)は、世界中の数多のクラウド事業者やSaaS事業者と、多くはIXを通してダイレクトにピアリングしている。一つ例に取って図で示そう。日本国内の通信では地理的に近過ぎて分かりにくいので、Amazon AWS EC2のヨーロッパリージョンまでの経路を、各上流ISPごとに調べてみた。AWSまでの経路は以下の通りであった。

 

 

さすがにNTT Communicationsのネットワーク網は広大で、その版図はヨーロッパにまで及んでいた。LumenとSoftbankは、途中NTT Communicationsを経由しなくてはなならないようである。

しかし、NTT CommunicationsはTier1である。いつトラフィックが混み合うとも分からない。そこでUnitas GlobalはAWSとダイレクトにピアリングし、これをば迂回しているのである。

 

 

勿論、Unitas Globalネットワーク自体が混み合った場合は、MIROが他の最適な経路を取るであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめると、当社のインターネット接続は、①MIROにより最適な経路を選択し、②“ドーナッツ・ピアリング”でクラウドやSaaSとの通信を最適化しているのである。以上で、当社の技術の優位性がお分かりいただけたと思う。そして、今なお我が社のネットワークインフラはその進化の歩みを止めないのである。

事業戦略部長
間庭 一宏

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