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法人向けクラウド・ネットワークサービスのPacketFabric

「インターネットが遅い」って結局どういうことなのよ?

2025年07月16日

はい、インターネットの会社で働いてるとインターネットが遅いだの、なんかパソコンが動かないだの、「新しくスマホを買ったので設定してくれんか」等、よくわからん問い合わせが家族親戚知人から飛んでくることも多いですが大体、再起動してくださいでなんとかなりますね。あとキャリアのプリインなアプリはアンインストールも無効化も出来ずイライラすることも多いので、あーROOT化してえ(親のスマホを勝手にROOT化したらアカンやろ)みたいなことも思います。

久しぶりのエンジニアブログの出だしがこんなんで良いのか的感覚には蓋をして、突っ走る今回のテーマはインターネットが遅いってなんだ?です。

何が言いたいかと言うと、インターネットが遅いって言われても、そもそもインターネットが具体的にどういう事かよくわかってないのに遅いって言う人が多いなあってことですね。ブラウザの動きが遅いはインターネットのせいとは限らないんだよ!(なんだってぇ!)という叫びを胸に秘めて生きてる感覚、おわかりいただけますでしょうか(まあ実際は叫んでますけど、それはおいといて)。

ためしに昨今流行りのAIに「インターネットが遅い原因」を聞いてみたところ
・使っている端末そのものの問題
・Wi-Fiなどのルータの問題
・ベストエフォート回線の品質問題

とか、基本を押さえた返事をしてくれてちょっとビックリしましたが、昨日トンでもない嘘を答えられて大笑いした事は忘れてないからね、と釘を差しつつ、弊社における遅延問題については、それだけに留まりません。AIが答えた内容で大体家庭用のインターネットとかモバイルでインターネット使う場合は合ってると思うんですが、それ以外でも考える事は結構あるんですよね。

企業向けの固定専用線インターネットを提供している弊社であっても、最近は弊社拠点とお客様拠点の間はベストエフォート型の専用線をご利用のお客様もおられますし、あまり迂闊な事は書けませんが、ベストエフォートというのはご近所さんの回線をまとめて共有回線でお安く提供するサービスなので、まあ「近所のお子ちゃまがP2Pしてる」とかよくわからない理由で突然PINGがドロップする回線だという認識です。出来れば使わない方が良いのですが、インターネットが安価なインフラであるという誤解と、固定専用線の月額利用料のお高さからベストエフォート回線を利用される事もあるようですし、結局オフィスでのインターネット利用において、インターネットが多少遅くなってもそれほど影響は無いっていう判断なんだと思います。

実際、結構頻繁にTCPの再送などが発生しても、ベストエフォート回線が輻輳してるのかWi-Fiが調子悪いのかわからず、ユーザには「端末上のブラウザ動作がたまに遅い」としか感じられないわけですから、オフィスでネットサーフィンする限りあんまり気にする必要ないかもしれませんね。とはいえ近所のお子ちゃまが本当にP2Pとかした場合、回線が長時間不安定になったりしてクレームになったりもするので多少の運は必要です。嫌な世界だ…

さて、ベストエフォート回線を使わなければそれで快適なインターネットが楽しめるのか、と言えばそんな事はありません。よく遅い速いを示す指標として、上り下りのデータ転送スピードを調べたりするサービスもありますが、あんなのあんまり当てにならないですし。というわけで、インターネットでご飯を食べてる人間としてインターネットの速い遅いを判断する基準は何かと言うと、

・PING
・パケロス率

の2つですね。TCPの事分かってる人にとっては常識だと思いますが、一応説明します。

PINGは2拠点の間の通信遅延を測るツールであり、「PINGの値がいくつか」を指し示す単位みたいなものです。数字はms(ミリセカンド)で表示され、通信したい相手先にデータを飛ばして返事が戻るまで、実際にかかった時間を意味します。アメリカなら100ms程度、ヨーロッパなら200ms弱程度発生するので、物理ネットワーク距離に依存することが多いです。

パケロスは「パケット・ロス」で、二拠点間のデータをやりとりする際、どの程度データが損失するかという数値です。インターネットは各事業者の自主的で冗長な繋がりに重きを置いているため、どの経路でどのようにデータが送られるか決まっていません。そして、自社の先に渡ったデータが必ず到達する保証もありません。なのでデータが途中でロスする可能性は当然あります。「稀によくある」位の認識でいましょう。

PINGの数字は、「一度にどの程度のデータを送信する事が出来そうか」(正確じゃないけど近いでしょ?)を決めるために使われるので、PINGの値が小さければ小さいほど、端末(スマホやパソコンなど)はデータをポンポン素早く送ろうとします。そして、結果としてデータ転送量が大きくなります。

一方で、「どの程度安定してデータを送信し続けられるか」もあります。これはTCPの仕組みとして「これくらいデータ送っても大丈夫だろ」という、一度にデータを送りつける量を通信品質に応じて制御する仕組みがあるためです。つまり、一度通信中にパケロスが発生すると「なんや品質悪いな、ちょっとずつ流して様子を伺ってみっか」と端末が判断し、データの転送量がガクッと落ちるのですね(TCPのトラフィック制御のアルゴリズムの説明のつもり)。

TCPの再送の仕組みとかありますし、パケロスが即座に通信の断絶になるわけではありませんが、確実に品質の低下には繋がります。なので、PINGが低くてパケロスが頻発する回線より、PINGが多少高くてもパケロスが極めて少ない回線の方が通信は安定しますし結果的にデータ転送が早くなる事もあります。

パケロス自体は端末の近く、それこそ端末自体の処理能力やWi-Fiの品質だけに留まらず、インターネットを構成する各事業者(ASと言います)の内部で発生したりしなかったりもしますし、原因だってメンテナンス、障害、輻輳、ファイバーの光レベル低下、機器での処理能力など様々な理由があります。特に最近は、グローバル展開するクラウド事業者が多くて、クラウド事業者内部ネットワークでよくわからん処理してるのかパケロス発生してたりすることもあります。

「インターネットが遅い」って結構考える事多いんですよねっていうのはこういうところなんですよね、というのがインターネットでご飯を食べさせてもらってる側からみた感想なんです、というお話でした。

なお、弊社の経路最適化技術はそういう面倒な諸般の事情を実際に調べて「PINGが小さくパケロスが少ない経路」を選んで、その経路で通信するためインターネットを安定した速度で使うことが出来ます。ただし、インターネットを使わず自前でグローバルネットワークを構築してるクラウドとの通信で遅延が発生することもありますし、クラウドのグローバルネットワーク側の問題にはタッチ出来ないのでクラウドとのダイレクトな専用線接続なんかも併せてお勧めしておりますので、ご入用の方はお近くの営業かサイトのお問い合わせフォームまでご連絡ください(宣伝)。

Vice President
技術部
吉川 進滋

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