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W-CAP Club

W-CAP Awards 2025の舞台裏話

2025年12月11日

新着情報

 - W-CAP Awards 制作舞台裏 -

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.はじめに

当社のイベントの後はいつもそうなのですが、「これだけのイベントを開催するには社員の方々はさぞかし練習が大変だったでしょうね」とか「よく、社員の方々が嫌がらずにやりますよね」といったコメントをいただきます。
お褒めの言葉ではあるのですが、そこには、「御社、本業のほうはちゃんとやっていますか?」や「意外と体育会系ですね」といったニュアンスも少々感じてしまいます。実際には、そんなに時間も労力もかけてはいません。
全体の練習は、台本の読み合わせが一回で2時間。そのあと、全体の通し練習が、事前に一回2時間、あとは当日リハーサルが2時間。のべ6時間位です。その他に、音楽練習が事前に一回で2時間、当日前リハが一回2時間というところでしょうか。こちらには音楽に関わるメンバーしか参加しません。
日常の業務には影響をあたえていないし、このイベントのための残業もありません。なかなか信じていただけないと思いますので、今回のAwards制作の裏側をお伝えしようと思います。       <代表取締役CEO 奥野政樹>

2.企画のはじまり

7月頃からでしょうか。マーケティング担当のピューから「奥野さん、次のイベントどうする?」のせっつきが日々激しさを増してきました。同じくマーケティング担当の宮﨑も気をもんでいることは明らかです。
そこまでなかなかいいアイデアも浮かばなかったのですが、ふと、「アワードをやったら面白いんじゃないかなあ」との思いが頭をもたげてきました。潜在意識には、今年初めて行われた”Japan Music Awards”があったと思います。
功労賞を矢沢永吉が受賞し、プレゼンターがサッカーのKAZU、ボスのパフォーマンスが圧巻だったのはもちろんですが、藤井風あたりも意外によかった。なるほど、この流れであれば、最近、当社のイベントでは欠かすことができないNTTビズリンク様ギタートリオの演奏を受賞の合間で思う存分使えるし、また、受賞者にはクラブ会員の方々、プレゼンターには当社社員と全員参加型のイベントができる。さっそく、ピューと宮﨑に提案すると「はい、良いですね!」とのことでした。早速会場探し。いつも通りマーケティング担当のほうで候補を2,3件ピックアップし下見に行くことに。新宿の会場は華やかなボールルームに加え、大きなステージがありアードを盛り上げるのに最適、またコネクションできる隣のカラオケルームは楽屋にちょうど良いということで決めました。実は、私がNTT新入社員時代に料金回収で駆け回った歌舞伎町にあるというのもひそかに縁を感じるところがありました。

3.問題点

ただ、私には、この企画を実施するにあたり2つの懸念がありました。まず、当社が会員に賞を授与するなどというのはあまりにも不遜ではないのかということです。そして、もう一つは、賞をもらう会員ともらわない会員がでてしまうこと。正直、自分だったら、こんなところで序列を付けられたうえ、ハズレに入れば、正直面白くはありません。もしかしたら、このクラブに対する思いは一気に冷めてしまうかもしれない。この2つの問題を回避するためには、アワードの権威を落とさなければならない、かといって、どうでもいいものであれば、やはりそれはそれでつまらなくなってしまう。賞はもらってももらわなくてもいいが、自分はどちらなのかドキドキ感はある。そのギリギリのラインを行く必要があるわけです。このあたり、マーケティング担当に説明しましたが、あまりピンときていないようでした。

4.ソリューション①

どういう賞を出すか。それはマーケティング担当と私の間で異議なしで、すぐに決まりました。
また、それを特別功労賞以外は会員の投票で選ぶことも異論はありませんでした。ただ、問題は、その投票方法でした。マーケティング担当は、やはり公平な投票方法にこだわりを見せました。しかし、私はこのアワードの権威を落とそうと考えているわけですから、ある程度不公平でいいのだ、と主張しました。それで、各社について、投票用紙の拡散努力をすれば何票でも投票できることにしました。つまり組織票を認めたわけです。また、当社社員にも投票権を与えました。つまり、ある程度当社事務局の政治的意図が入っているのではないかという憶測の余地を残したのです。実際には、当社投票は、誰が誰に投票したのか私は知りません。

次に論点になったのは、受賞者に渡すトロフィーをどうするかでした。マーケティング担当は、ここでも威厳のある華やかなトロフィーをイメージしていました。例えば、アカデミー賞のオスカーであり、Japan Music Awardsのルビーのようなものです。それに対して私がAmazonのサイトを引用して示したのは、カエルのトロフィーでした。ピューは大いに驚き、宮﨑は「可愛くて面白いけれど…」と、とても微妙な反応。私を翻意させようとかなりに説得を試みましたが、「権威のあるものにしちゃだめなんだよ。バカバカしいものにしないと。そうしないと受賞者とそうじゃない人に格差が生まれちゃう」という私の主張についに折れて、カエル・トロフィーを注文しようとしましたが、なんと売り切れでした。

マーケティング担当は、うれし気に、以下の3つから選べと、馬、ゴールドとバナナのトロフィーを見せてきました。私がその中からもっともバカバカしいバナナを選ぶと、ピューは明らかに失望の色を隠せませんでした。「受賞者がもらうのはこれだけですか?副賞は?」と聞くピューに私は毅然と「いらないよ」と答えましたが、ますます納得がいかない様子。そのうち納品されたバナナ・トロフィーは、私ですら、少々おののくほどにチャチなもので、さすがに、私の指示を無視し、マーケティング担当の二人は、副賞のお菓子を用意すると言い出し、買いに行くピューを引き止めることはできませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

5.ソリューション②

次の問題は、賞をお渡しする当社の不遜をどのように消すかです。一番気になったのは、このままだと、プレゼンターとして当社の幹部が続々登場し、最後に「では、最優秀会員賞のプレゼンターは、当社代表取締役CEO奥野政樹です」となってしまうことです。これでは、私がとても偉い人になってしまいます。こんなイベントを喜んでいただけるわけがありません。これではエンターテイメントではなく、当社のプロパガンダになってしまいます。そうだ、架空の有名人をプレゼンターにすればいいのではないか?それなら、時空を超えてプレゼンターを選ぶことも可能です。マーケティング担当もそれは面白いと思ったようで、誰に誰をやってもらおうかと思いを巡らせ始めました。ただ、この問題は、物まねのプロでもなんでもない社員に、多大な負担がかかるのではないかということでしたが、まあ、衣装で外観だけ似せて、あとは、私の書くスクリプトを読むというだけにすればさほど練習しなくてもできるだろう、ということになりました。

6. 配役

プレゼンターは5人です。最初に思い浮かんだのは、技術担当VPの吉川が、なんとなくアインシュタインに似ているということです。それに彼は、いつも、華夏弘通を気取り、誰にもわからない科学論を唱えている。適任です。ピューも宮崎も笑っていました。ただ、懸念点は、果たして吉川がこの役を気持ちよく引き受けてくれるかでした。彼は、これまで、W-CAP Clubイベントには関わっていません。いつもお留守番です。私は、説得する自信があまりなかったので、マーケティング担当に「吉川さんを、その気にさせといて」という極めて無責任なオーダーをだしておきました。その後しばらく何の報告もなく、心配をしていましたが、だいぶ後になっていよいよ、練習に入ろうかという頃に、「そういえばアインシュタインどうなった?」と聞くと宮﨑が、「吉川さん、承諾してくれましたよ。髪も白くしますって」とのこと。え、白く?と思ったが、宮﨑はすでに特殊な整髪料まで目星を付けてる模様。あの吉川がなあ、実は今までも声かけて欲しかったのかな?と思いを新たにしました。

そして、技術担当のチャンスは松山千春に似てるということで即決。ただ、ピューもチャンスも、「それ誰?」という感じでした。その後、何かにつけてチャンスは松山千春はどういう人なのか、有名なのか、どんなキャラなのかと私に取材をし、自分でも研究を重ねた結果、語尾に「なあ」を付ける癖の発見に至ったようです。

また、時空を超えた人物を誰か欲しいということでいろいろ考えましたが、男女バランスのよさで、推古天皇と聖徳太子。これも外観を似せやすいということで宮﨑とNOCサブマネージャーの林で決定。林は聖徳太子役として手に持つ杓(実際には100均で宮崎が調達した木板)の裏に小さな字でセリフと歌詞をびっしり書くことで難局を乗り切ることになります。

あとは、やはりトランプはいいかなと私が言うと、ピューが「マサミが大きいから」という理由で営業担当のマサミ。もう1人は実は小池百合子で、私はそうは思わないのですが、ピューが「徳永さんが似てる」と言って譲らないので決まりました。

7. なぜ経済界とスポーツ界からプレゼンターを起用しなかったか

本イベントは経済イベントですから、経済界からプレゼンターを選びたかったというのはありました。
ただ、経済界で成功した人ってやはり完全に勝者なんですね。スティーブ・ジョブス、松下幸之助、誰を選んでもパロディーにできない。これでは、だめなんですね。このイベントは権威を落としたうえでドキドキ感がないといけないのです。ホリエモンも考えましたが、この人も自称頭が良いと言い張っているので、いじりにくい。今、考えるとジャパネット高田の高田会長さんあたりならいけたかもしれません。

また、スポーツ界ですが、これは、もう、今は大谷選手しかいないわけです。ここを外したら、なぜ?となってしまう。それくらい絶対的な存在です。ただ、この人もどうにもパロディーにはしにくい。完璧すぎるのです。そこで、ふと、思い浮かんだのが水原一平氏です。私は、以前よりこの人の通訳はとてもいい加減だとみていましたが、それでも、もしかしたら、歴史上もっとも稼いでいる通訳なのではないかという矛盾に面白さを感じていました。この人にトランプの通訳をさせればいい絵が描けるのではないか。そう考えたわけです。最初の配役は、実は事業戦略VPの中村で、その理由も外観が第一だったのですが、技術部長の五月女が歌うよりも演技がしたいとのことで、二人の役割はチェンジとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

8.選曲

NTTビズリンク様のギタートリオの出演はすぐにご快諾をいただきました。必要な曲数は、5曲です。
先ず、最初に考えたのは当社の社歌、“地獄の淵でRock Us Baby!”をやるかどうかでした。この曲は4年前に当社の設立20周年を記念して私が作詞作曲したものです。社歌などと言いますが、別に、当社内で4年前から一度も歌ったことはなく、社員が果たしてこの曲をどれくらい歌えるのか極めて不確実でした。それに、そもそも、この曲をクラブメンバーの方々にお聴きいただく意味があるのかどうか。ただの当社と私の独りよがりにしかならないのではないか。そこが考えどころでした。しかし、度々、「なぜ、バンド演奏で社歌をやらないのですか?」と聞かれるというのも事実としてありまして、思い切ってやることにしました。これで残り4曲です。これは、私の希望というよりもある種必然で決まりました。

実は先日、ギタートリオの方々とエクイニクス・ジャパン様の軽音部がセッションをするというのを見に来ませんか、と招待をされまして、行かせていただきました。私は、本来さほど社交的ではありませんので、2次会まで参加はさせていただいたものの、なに話すこともなく、暫し、浮いていたわけですが、実は、こういう時、私は結構人の話は聞いているところがありまして、カッコイイキーボードを弾かれていたNTTドコモさん関連の女性の方が、「キーボードが引き立つ曲と言えば、ジャーニーか「TOTO」と話されているのを聞き逃しませんでした。また、ようやく少し話すこともできるようになったお隣に座られていたエクイニクス様のドラムの方に「シシド・カフカみたいでかっこよかったです」、と恐る恐る言ってみたところそこそこ話に乗っていただきました。

その後、ギタートリオのバンドマスター的存在である内田様からエクイニクス様の軽音部もお誘いしたいとのお申し出を受けて、そうであるならば、と、先ず、ジャーニー “セパレート・ウェイズ”が決まりました。
この曲は、私がよく若いころカラオケで歌っていたもので、最近は、野球のWBCテーマ曲にもなっていますので、今回のような華やかな場にもふさわしいであろうという思いでした。そして、次は、シシド・カフカさんですが、最近、マチャアキとミッキー吉野が組んでMAGNETSというバンドをやっており、ゴダイゴの“モンキー・マジック”をカバーしていた時のドラムがとてもよかったので、これをお願いしました。そして後の2曲は内田様にお任せしたところ、エクイニクス軽音部からは、先日もやられていた綺麗な歌声の中島美嘉“ORION”があがってきましたのでお願いすることとしました。もう1曲は、NTTビズリンク様に素晴らしい歌姫がいらっしゃって、その方を起用したいとのことでしたので、是非にとお願いしたところ、ロックの“天城越え”というのが提案されてきました。まあ、いいんですけど、これ、バンドメンバーもなかなか集まれない中でどうやって練習するんですか、というようなやり取りをしていると、「やはり普通バージョンで」、と来たので、それでは和楽器使っているしオーケストラの部分はどうするの?と尋ねたところ、突然、相川七瀬の“夢見る少女じゃいられない”を提案してくれました。私もこの曲は好きなので、即OK。これで全曲決まりです。当社ドラムスの事業戦略部長の間庭は、それから毎日夕方1時間休をとって会社の裏のスタジオへ練習に通い始めました。

一方、マーケティング担当の宮﨑は、その後、ひっきりなしに内田様から送られてくる各曲のキー設定の問い合わせにテンテコマイ。D、F,Gがどうの、メジャーがどうの、マイナーがどうのと、どうも意味がよくわからないようでした。宮﨑は人によく気遣いできる性格ですから、内田様のご質問になんとか過不足なく答えたいようなのですが、私の方は、「そんなの、あのレベルの人たちは、キー変えてって言えば一発でできるんだから、一回、合わせてから考えればいいんだよ。」と適当な回答しかしないもので、ほとほと困っていたようでした。仕方がないので「じゃ、社歌はFとか位、Jはない。原曲はたしかAなんだけどね。」などといい加減な対応をしていたのですが、唯一「セパレート・ウェイズは社歌くらいに下げる、でいいですか?」との質問には、「はあ?何言ってるの?
原キーでしょ、って伝えて」となり、内田様を驚かせたようです。宮﨑の心配は日に日に募っていくようでした。

9.コスチューム

その裏で、宮﨑とピューは喜々として各キャラクターのコスチューム選びを始めました。こちらはバンドと違い宮﨑の真骨頂が発揮される部分です。まずは、私がミック・ジャガーみたいなピンクのスーツがいいな、の声を受け、あっという間にどこからそれを仕入れてきました。ただ、届いたそれは、生地が薄っぺらいナイロンみたいで少々不安でしたが、フリーサイズだというのでまあ、サイズとしては大丈夫なのだろうと試着もしませんでした。その後、こういうものを一体どこから仕入れてくるのか不思議ですが、推古天皇、聖徳太子などの難関を次々と低予算で突破していきます。また、中村は中村で、「モンキー・マジックではバンドの方全員に西遊記のコスチュームを着てもらうのだ」と無茶なことを言い出して、どうなることやらと思いましたが、取り敢えず衣装はそろった様子。ただ、その中で最後まで懸案となったコスチュームが2つありました。
それは後述します。

- 練習 - 

ここまでコンセプトが決まれば、私にとって、登場人物全員と司会のピュー、それをサポートする営業担当の紀のシナリオを書くのには1時間もかかりません。本番、3週間前でしょうか。第1回、シナリオの読み合わせを行いました。まず、当初の計画から大きな変更が1つありました。当初は徳永は小池都知事を想定し、そのシナリオもできていました。しかし、この間、高市首相が誕生してしまった。こうなると、やはり高市首相を外すわけにはいかなくなってしまいました。実をいいますと、私はあまり高市首相を評価していません。みなさん、色々な見方はあると思いますが、人格的には問題なく思われるものの、どうも、ご主張に中身が感じられないし、軽率な言動も目立つ。その割には人気があるのは、私にはやはり政治家としてよりもアイドル的な人気に思えるのです。その思いを、徳永のセリフに込めることにしました。つまり、インフレ対策をするといいながら、まだデフレだと言ってよく中身の分からない積極財政を皮肉るというセリフを徳永に与えました。しかし、彼女は、それを「長すぎるし、大体こんな内容はつまらない」と言います。私は、この徳永の言い分を全面却下しました。
それよりも気になったのは徳永が高市首相ではなく、完全に小池都知事になってしまっていることでした。まあ、でもそれは仕方ないこと。むしろ他のメンバーが思った以上に出来ていたこと。特にマサミのトランプは秀逸で皆が驚きました。

一方、音楽の方もNTTビズリンク、エクイニクス様と初の音合わせを本番2週間前に行ったわけですが、
全員は集まれませんでした。特にキーボードの方がご欠席だったのは私にとってショックでした。
“セパレート・ウェイズ”という曲は、キーボードにあわせて歌う曲です。これでは本当の意味での練習にはなりません。更にショックだったのは、若い頃は軽く出た声が出ないことでした。どうしても曲の途中で咳き込んでしまいます。その後、家族のいないときを見計らって自宅でも自主トレを開始しましたが、なかなか上手くはいきませんでした。また、中村は、「モンキー・マジックってゴダイゴじゃないバージョンだからカラオケもないんですよね」と、恨みがましくチラチラこちらを見ていましたが、私は知らんふりをしていました。社歌に至っては、何を歌っているのかわからない状態。正直滅茶苦茶でした。
とにかく音楽については、これであとは本番当日のリハーサルしか合わせる場はないという状況でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

-本番へ -

2回目の読み合わせは本番1週間前。各プレゼンターの登場曲は決まっていました。全て私が指定したものです。
アインシュタインは科学っぽいのでNHKの“デキルかな”のテーマ。松山千春は、売れ線の“長い夜”はあえて避けて、哀愁漂う“恋”で裏切りのインパクトを狙いました。推古天皇と聖徳太子は“雅楽”、これしかありません。また、トランプも米国大統領の登場曲は公式のものがありますからこれは外せない。
一番考えたのは高市首相の登場曲です。色々調べると嘉門タツオの“ゆけ!ゆけ!高市早苗!!”とか戦後の首相をすべてオマージュし、高市首相はドラマーとして登場する動画も見つけました。色々考えた挙句、結局、YOASOBIの“アイドル”にしました。やはり、私にはこの首相はどうしてもアイドルに見えてしまうのです。

そのアイドルを2回目の練習で徳永は完璧に演じてきました。「練習したの?」と聞く私に徳永は、宮﨑さんが教えてくれた清水ミチコの高市のモノマネを研究したとのこと。まあ、もともとデキルとは思っていましたが、これには正直感動さえ覚えるほど仰天しました。マサミのトランプは、私のシナリオにはないアドリブと独自のダンスを加え更に洗練されており、五月女の一平との掛け合いも完璧でした。聞くところによると、近所を気にしながら自宅で繰り返しトランプ動画を見て秘密練習をしてたとか。アインシュタインももともと物理用語を並べた特異なセリフになにやら加えてさらに独自性を出そうとしています。推古天皇と聖徳太子も完璧です。
つくづく、なぜ、当社の社員はこんなことができるのか不思議でなりませんでした。
なぜなら、私なら、こんなこと命じられても絶対にやらないからです。

ただ、マーケティング担当はまだまだ不安が尽きません。新宿の会場が決まってから、宮﨑と会場のご担当者とのやり取りが日々続いてるわけですが、今回の会場の連絡先は、カスタマ窓口なる”コールセンター”。問い合わせる度に人が変わり、履歴を残していると言えども、確認した内容が変わることもしばしばある模様。ついにしびれを切らし「ご担当はいつ決まるのか?」と尋ねたところ、その晩ご担当者からご挨拶兼お詫びのメールが届いたそう。その後もメールでしか連絡が取れず、窓口に伝言をするしかない状況。伝わっているのか?いないのか?このシステムは一体なんなの?、というストレスと不安がマックスに達し、自分はカスハラをしている気分だと漏らすことも。
そんなこんなで開催日の前々日に、これはもう時間を作り、直接ご担当者とすり合わせをしないと不安で一杯、と判断し、中村VPと会場に出向いて行くことに。「やっぱり認識違いがあって、直接話せてよかった~」と言いつつ、それでも当日まで不安は拭い切れない様子でした。

- ルパン三世登場 -

トラブルは突然やってきます。それは松山千春役のチャンスのパートナーがインフルエンザにかかってしまい、チャンスは練習も欠席。本番の参加も危ぶまれるようになってしまったということでした。

ピューも宮崎も私の無茶ぶりには鍛えられていますから、こういう状況でも慌てたりはしません。直ぐさま、「奥野さん、プランBは高市さんの早めの登場ですかね?」と提案してきました。私は、直ぐに、先ず、「照明担当になってるNOCから事業戦略部に異動したばかりのバラニって、ライオネル・リッチーに似てない?」と言いました。ただ、ピューとしてはバラニは照明担当としては外せないとのこと。また、私としてもライオネル・リッチーって今一つウケる自信はありません。まあ、いいや、そろそろ寝るかと思いベッドに入ると、突然、エンジニアのパブロがルパン三世に似ていることに気が付き、ベッドから起き上がりTeamsのチャネルに「パブロ、ルパン3世に似てないか?」とチャットしていました。ただ、パブロについては、やはりエンジニア気質で、あまり目立つことは好みません。裏方をより好む性格です。無理かなぁ・・・と思っていましたが、翌日、社内はやたらと盛り上がっていました。そして、なんと、パブロ自身が、「こんな感じですか?」と有り合わせの服でつくったルパンのなり切り写真を送ってきたのです。また、バラニが「モデルガンを持って来ましょうか?」と言い、社内がパブロ=ルパンですっかり出来上がってしまいました。

シナリオを書き換えるのは簡単。あっという間にできましたが、ここで、徳永がどうしてもルパンの服装をさせるのだといいます。宮﨑は、正直、もう本番まで2日ですから諦めていたようですが、徳永は、翌日、自分が上野のアメ横にある舞台衣装店でルパン服を買ってくるのだと譲りません。
結局予算オーバーでそのルパン服は本番前日に手に入りました。また、徳永は調子にのって、自分の高市服も本物を10万円で買うのだ、と主張していましたが、それは却下。テキトーなところで落ち着きました。

 

 

 

 

 

 

 

- 本番当日 -

私のピンクのスーツですが、初めて着てみたら、まったくもって小さい。パンツがギリギリはいったのが不幸中の幸いでしたが、ジャケットはボタンを締めようとしたら、パンと音を立ててそのボタンははじけ飛びました。それは宮崎が両面テープで止めて、事なきを得たかのように思えましたが、今度はしばらくして、“ビチっ”という嫌な音がして、太ももの内側が裂けました。中村がセロテープでグルグル巻きにしてくれましたが、巻けば巻くほど反発でパンツは裂けていきます。最後までもつのか?その不安を抱えての本番となりました。

“セパレート・ウェイズ”ですが、初めて合わせた肝心のキーボードは全く聞こえません。
仕方がないので、自分の中のキーボードで合わせることにしました。そこから生まれたアイデアが、楽屋からではなくレッドカーペットを歩いて登場する。それがカッコイイのだそうで、それをやることにしました。声はギリギリ出てはいたものの、完璧な自信など全くありませんでした。私以外も自分の声が聞こえないとか、拍数が合っていないなどの問題が本番直前で多発していました。

ピューと紀のMC掛け合いですが、練習の時より大分よくはなっていたものの、不安は尽きない状態でした。
特に、私がこだわったのは、冒頭の紀、「この賞はもらっても意味がないんですか?」に対して、ピューが「このバナナ・トロフィーがもらえます」の部分です。この掛け合いは、冒頭で述べたこのアワードの権威を落としつつ、エキサイトメントは保つためのキーフレーズなので。しかし、本番を前にしてピューはどうしてもここに恥じらいをもって読んでしまいます。ここは、堂々と上から目線で、たじろがずにKYでこのセリフを言い切らなければいけない。ここを何度も何度もやりました。およそやり切ったとは言えない
状態で時間切れ。本番と相成りました。

 

 

 

 

 

 

 

- 本番 -

ピューと紀との掛け合いが始まり、私は会場の後ろにスタンバイ。ピューがバナナのくだりをうまくKYにできたのを確認する余裕はありませんでした。レッドカーペットを歩き、会場をあおりながらステージに。キーボードは聞こえたし、2人で目を合わせながら、歌唱の入りを確認できました。2番の終わりでは咳き込みそうになるのを必死で抑え、間奏で立て直し、一応エンドまで。間庭のドラムの叩き方もよく確認できたと思います。キーボードの方から、「こうしてボーカルと目を合わせながらやったのはすごく楽しかった」と言われたのはとても嬉しかったです。

その後、ルパンの銃声が鳴らないなど小さいハプニングはいくつかありましたが、心配だった社歌は何が何だかわからなかったものの、取り敢えず盛り上がったようですし、最後のトランプと一平の掛け合いから最優秀メンバー賞の授賞式まではほぼ完璧だったと思います。私が何よりも感銘したのは、特別功労賞を受賞されたエクイニクス社の加藤様から「まさか総理大臣から賞をもらえるとは思えなかった」と言っていただいたことでした。
偽物なんですけどね。ちょっとうれしいでしょう?それでいて、見ている方はちっともうらやましくない。まさしく、これぞを狙った、そういうイベントだったのです。

最後は、YMCAでみんな踊っていましたが、実はこの演出は私も知りませんでした。誰がこれをやったのか、私も知りません。
こういうイベントが成功する基本は、先ずはみんなで意見を持ち寄って、という考えを取らないことです。
それでは面白いものは絶対にできません。この企画において私は絶対君主です。
しかし、それでも、本番、各キャラクターは私の知らないアドリブをかましているし、そもそも肝心のエンディングは私が企図したものではありません。こうした、不確実性がもしかしたら皆様は面白いと感じていただけるのかもしれませんね。

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